第十章 夜に咲く花も在る 五

16/17
前へ
/191ページ
次へ
「夏目さん、早く帰りましょう」 「そうだな」  三毛の夢にも意味がある。  これは、忘れてしまう記憶を、追体験させる事だ。そして、影の一族には有効だ。 「英トが研究するから、あれこれ持ち帰って来いと言っている」 「持ち帰るモノにも限界があります」  そして、この二つは通常社会に在った。 「でも、珠緒ちゃんに土産を買わないと……」 「買ってあります」  道原は、いつも用意がいい。  そして、こことは別の場所の温泉旅館を予約していた。 「帰りに、温泉旅館を堪能してゆきましょう」 「やったあ!!」  道原は、俺が人の姿に戻ってので、温泉を予約したという。 「この機会に温泉です。猿では、ペット可の宿でも、断られるのです」 「人間万歳!」  そして辰見も一緒に帰るというが、玲央名は置いてゆくという。 「辰見、玲央名さんには冷たいな……」 「あの親父、最近、三毛にばかり頼るので、少し働かせておきましょう」  そして辰見は、亜子から百五十年前の集合写真を見せて貰うと唸っていた。 「三毛がいる…………」 「え?????」
/191ページ

最初のコメントを投稿しよう!

59人が本棚に入れています
本棚に追加