第十章 夜に咲く花も在る 五

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 どうして廣川の集合写真に、三毛が映っているのだろう。 「ゴリラ、何か知っているか?」  だが、影に聞いても記憶していなかった。 「この光景は、夢で見た事がある……」  しかし、三毛は記憶していた。  この写真が撮られた当時は、まだここには城が存在していた。 「俺は傍観しているのかと思っていました……」  三毛はこの光景を見ていたが、まさか自分が実在していたとは思っていなかったらしい。 「ここにいる全員が、その後の襲撃で殺されたのです……」  だが他家に嫁いでいた姫様がいたので、廣川家が再建される。 「裏切ったのは、村尾という家臣」 「弥生さんの先祖ですね」  村尾は素性を隠して、喜多村の婿になるらしい。 「姫様を想っていたのに、他家に嫁がせたので皆殺しにした」  この喜多村家は、ここに置いていったほうがいい。
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