第十一章 時には雨

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 海外にまで情報が拡散され、難解事件マニアが廣川の家を訪ねてくる。だから、裏社会に移住しておいて良かった。 「裏社会にまで、事件マニアが来ます」 「今は四乃守がどうにかしているけど……引っ越ししたら自力になるな」  今は孔士も仮住まいで、四乃守の社宅を使用していた。だから、四乃守のセキュリティに守られている。  ここで恐ろしいのは、弥生が捕まっていないという事だ。指名手配になっているが、足取りは全くつかめていない。  そして、犬達が仮住まいしているのも、四乃守の敷地内で、珠緒の部屋の近くであった。  そして犬達は、珠緒を物凄く怖がっていて、四乃守一族には近寄って来ない。 「犬、珠緒ちゃんが窓からこっちを見て泣いているだろう……俺にも一秒刻みに電話が来るから、懐いてやれよ」  どうして、犬達がこんなに珠緒を怖がるのか分からない。 「クウウウンンン」 「クウウウウンン」 「クウウアンアア」 「道原、翻訳」  犬達から見た珠緒は、生きている金属で、在ってはならない存在だという。そして、四乃守は正気ではない一族らしい。 「物凄く怖いそうです」
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