第二章 十月に雨が降る 二

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 途中で運転を代わってやりたいが、俺の大きさではハンドルを握ったら、アクセルに足が届かない。車の運転も、スマホなどの端末で出来るようにして欲しいものだ。 「そうか!作ればいいのか!」 「変なモノを作らない!」  道原も、俺が何か言うとまず否定してくる。それだけ、経験を積んだと言いたいのだろうが、俺もまともな発言もするのだ。そこを認めて欲しいと思う。 「高速道路が、雨の為に通行止めになっています。平行している国道も、あちこち止まっています」 「この道を行け」  俺の目を侮ってはいけない。この豪雨でも、しっかし先が見えている。それも俯瞰図のようにも把握できるので、通れる道を選んでおいた。 「よく、こんな道を知っていますね……」 「元捜査官だからな」  辰見が向かった先は、裏社会を抜けて通常社会に入った先にあった。  俺達が裏社会と通常社会を隔てる橋に向かうと、カーナビから、川の水位が上がっている為に通行止めというアナウンスが流れた。しかし、それは高速道路の橋のみで、一般の端にはその信号が無い。  しかし、一般の橋は低く、荒れる川の水が、時折道路にまで流れ込んでいた。
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