第十一章 時には雨

16/16
前へ
/191ページ
次へ
「弥生は??」  『時には雨』の上にある看板が吹っ飛び、二階の窓も割れているが、客と従業員は無事のようだ。  消火器を持った店員が、車の消火を始めると、嘘のように雨が上がっていた。 「サイレンが聞こえている……」 「消防ですね……」  裏社会にも消防はあるのだ。  そして、店員と客が、車に乗っていた人々を助ける為に出すと、それは喜多村の一家だった。 「どうして……」  車は大破して燃えていて、まるでミサイルでも受けたようだった。即死では、TOBOSでも助ける事は出来ない。すると、喜多村一族に生存者はいるだろうか。  そして、こんな場所に、子供まで連れて来る事はなかっただろう。  そして、救急車がやって来ると、黒焦げになった人々を運んで行った。 「二階にも救急隊が行きました……」 「運ばれる先は、四乃守病院だろう」  店の外に出た亜子は、雷に撃たれた車の中から、喜多村の家族が出てきた事に驚いていた。そして、二階に弥生がいたと知ると、失神してしまった。
/191ページ

最初のコメントを投稿しよう!

59人が本棚に入れています
本棚に追加