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第十二章 時には雨 二
救急車を追い掛けるように四乃守病院に行ったが、弥生を含めた喜多村の面々は即死していて、TOBOSも使用できなかった。
詳しい事は、教えてくれそうにもないので、道原の実家に行くと、道原の母親の未久と、姉の千賀は仕事に行っていて留守になっていた。
ずぶ濡れだったので風呂に入ると、道原が丁寧に洗ってくれた。
「毛玉が出来るので、ブラッシングしながら洗います」
「どうも」
今回も道原に迷惑を掛けているので、俺が頬にキスすると、道原が真っ赤になった。そこで、唇に幾度かキスしてみると、何を食べたのか聞いてきた。
「…………虫とか、拾い食いとかしていませんよね?」
「俺を何だと持っている!」
だが、真っ赤になった道原は可愛い。
そして、風呂に沈みそうになるくらい、蕩けていた。
「夏目さん、猿の姿でも、破壊力が半端ない」
「そうか?」
しかし、何が起こったのか、把握出来ていないので、とても気になる。
俺が風呂から出て、すっぽんぽんで走り回っていると、道原がタオルを持って追い掛けてきた。
「どうして、走るのですか?」
「早く乾かそうとしただけだ」
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