第十二章 時には雨 二 

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 四人は、弥生が殺人鬼と知って、自分達の手で始末しようとしていたらしい。 「そうか……キッチン喜多村の子供二人ではなかったのか……」  四人の姿が確認できたので、てっきりキッチン喜多村の家族全員なのだと思ってしまった。そこは、情報戦を得意としていたのに、ショックだ。やはり、スタッフを揃えたい。  だが、キッチン喜多村に、生存者がいたと知って、少し安心した。 「どうして、警察に頼まなかったのだろう」 「弥生は精神を病んでいた時期があります。だから、裁判で無罪になる可能性がありました」  だが、弥生は境界型で、正気の時もあるが、その時期ですら狂気になれた。 「そして喜多村の一族は、弥生のような人物を、周期的に排出していた」  繁栄と失踪、その影には殺人鬼を生み育ててしまう一族がいた。 「光と影……」  そして、キッチン喜多村の子供二人は失踪したままだった。 「大学生二人は失踪……」  きっと、二人は隠れて裏社会にいるだろう。そして、いつか、廣川の一族の前に現れる。 「亜子さんの言っていた通り。もう探さなくていい……」
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