第二章 十月に雨が降る 二

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 それでも出発してしまうのだから、本当に計画性がない。でも、一秒でも早く行動したいという、三毛の気持も分かってしまったのだ。 「心配するといけないから、一鉄工房には電話しておこう」 「珠緒ちゃんには、連絡しなくていいのですか?」  珠緒は雨が嫌いなので、きっと家にいるだろう。 「怒るから嫌だ」 「怒りますね……」  そして再び走り出し、街を抜ける頃になると、雨もだいぶ落ち着いてきた。 「高速、通行止めが解除になりました」 「助かった」  やはり、障害物が無い分、購読道路の方が走り易い。それに、移動時間が短く済む。  それから数時間ほど走り続けてゆくと、今度は雨のせいではなく、真っ暗になってきた。 「休むか?」 「もう少し、大丈夫そうです」  だが、ドライバーが道原しかいないので、連続して走り続けるのは危ない。 「今日は、どこに宿泊しようか……」 「ペット可のホテルは少なくて……特に猿……」  道原はホテルの予約をしようとしたが、猿も宿泊できる所が無かったらしい。ならば、俺を車に残して泊まってくれればいいのだが、それはしたくなかったという。
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