第二章 十月に雨が降る 二

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「夏目さんを放置すると、いなくなりそうです。だから、一緒に野宿したほうがいい」 「俺は、野宿は嫌だ」  せめて屋根のついている場所がいい。 「道原、大きめのサービスエリアに入るぞ」 「はい」  そこで仕方なく、今日は車中泊にした。  車は暫く走り、二十四時間営業しているコンビニのあるサービスエリアに入った。すると、雨を避けていたのか、幾台ものトラックが止まっていた。  多くの人がいるのも困るが、誰もいないより、適当に人がいたほうが安心できる。  そこで、車を少し外れた場所に止めると、コンビニで買い物をする事にした。 「道原、酒」 「不可!」  道原は俺を肩に乗せてコンビニに入ろうとしたが、ペットの入店を拒否されてしまった。そこで、俺は表のベンチに立ち、窓から中を見て、道原に指示を出した。 「み……」  だが、ここで言葉を喋る事は出来ない。人は少ないといっても、店員はいる。  そして、俺が道原を見て唸っていると、トラックの運転手が来ては、俺にバナナやミカンを与えてくれた。 「こりゃあ、綺麗な猿だ」 「飼い主は、あの兄ちゃんか」
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