第二章 十月に雨が降る 二

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「そうです。美柑と檸文は、辰見とは少し違っているけれど、人探しというのか、そういうのが得意で……地下社会でも人探しを引き受けています」  特に美柑は、ペットの捜査を得意としているらしい。そして、人気の探し屋だった。 「辰見の父親は玲央名(れおな)。これといって能力は無いのですが……癖の無い方で、人の警戒心を煽らない。すっと会話に入って来るような……それでいて、菊花の出身で、元は偉い人の秘書をしていたとか……」 「菊花の出身なのか……」  菊花の出身だとすると、見た目と中身が異なっていた可能性が高い。だから、癖の無い方というのが、既に怪しい。 「辰見の父親は、どうして通常社会にいた?????」 「それは……」  それは話すと長くなるというので、まずは、食事を優先しておく。 「焼きたてパンを貰った」 「いつの間に……」  しかし、これは乳を使用しているので、俺は食べる事が出来ない。そこで、道原に渡しておき、他のものを探した。 「夏目さん、車の中なので、そんなに動かないでください!」 「……揺れるから、車酔いする……」
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