第二章 十月に雨が降る 二

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 道原はどうでもいいが、三毛が車酔いすると困るので、大人しくしておこう。 「道原、お酒」 「ありません!」  俺が道原の手を齧っていると、おにぎりにすり替えていた。そこで仕方なく、俺は梅干しのおにぎりを食べた。  昼も梅干しのおにぎりだったが、俺は梅干しだけは飽きる事がない。これで酒があれば完璧だが、このコンビニにはアルコールの類いはないらしい。 「道原」 「今度は何ですか?ほら、こぼさない!はい、水」  道原の傍は居心地が良い。  そして、食事が終わると、三毛が思い出したように喋り始めた。 「夏目さんも、地下社会には詳しい…………」 「出身だ」  だが、『時には雨』という店は知らなかった。そこで、地下社会にいる千手に情報を求めると、いい店だと回答がきた。  『時には雨』は探偵ではなく飲食店で、食事がとても美味しいらしい。しかも、酒も良く、更に接待が抜群に良いという。 「辰見の母親は地下社会の方で、辰見も周期的に行っています。辰見の妹は、ほぼ毎日、母親の元に行っています」 「『時には雨』か……」
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