第二章 十月に雨が降る 二

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 辰見は母親と疎遠というわけではないが、通学の関係もあり、裏社会に住んでいた。妹二人も銀鏡学園に通っているが、夜は母親の店を手伝っていたらしい。 「千手さんなら知っていると思います」 「うむ、詳しかった」  千手のシマにあるのかと確認したら、俺のシマに在ると笑っていた。俺のシマはどこなのか、今度確認しておきたい。 「ちなみに、凜子さんは、夏目さんの事を知っているそうです。辰見に、夏目さんを連れて来てと、お願いしていた……」 「何の料理を出すのだろう」  すると、豆腐の店となっていて、夜は豆腐バーになるらしい。 「豆腐??????」 「ヘルシーで人気です」  豆腐は好きだが、豆腐バーには行った事が無かった。 「妹二人は、凜子さんが育てているのか?」 「三人とも、辰見の姓を持っています。それに、美柑と檸文は、銀鏡学園の在校生です。菊花には入れませんでしたが、優秀です」  美柑と檸文は、梅花に入れたのかもしれないが、梅花は女性に不人気で皆辞退してしまうらしい。 「家族揃って生活したかったようですが……玲央名さんは裏社会の住人で……」
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