第二章 十月に雨が降る 二

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 そして、美柑は猫探しも得意で、海外のマニアに攫われた猫まで取り返してきた事があるという。一説では、美柑は動物と喋る事が可能だといわれている。  檸文の方は、地下社会全員の顔を覚えているといわれていて、その現在地も把握している。 「目立つ、娘……」  これでは、辰見の能力も霞む。  そして、玲央名は更に目立たない。 「…………玲央名は目立たないように生きている……」 「探偵では目立てません」  辰見の母親、凜子は元制裁屋で、かなり腕が立つ。しかし、現在は引退して、店を経営していた。  同じ制裁屋の日鋼丸に確認してみると、凜子が大怪我をした時に、助けたのが玲央名だったと知っていた。そして、その時の怪我が元で、凜子は制裁屋を辞めた。 「その頃は、まだTOBOSが無かった……だから、怪我で引退という事もある」 「凜子さんは、今も杖を使用しています」  だが、この子供の能力は、玲央名の遺伝子なのではないのか。
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