第二章 十月に雨が降る 二

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 凛子を調べてみても、身体能力以外では、目立った特徴はない。しかし、玲央名にも目立った能力はなく、その能力は優秀しかない。だが、この玲央名という人物は、怪し過ぎる。 「雨が止んだ」 「でも、暗いままです」  それは夜になったからだ。  しかし、三毛と同じ場所で眠るという事は、とんでもないリスクを伴う。 「三毛」  それは、三毛は自分の夢で過去を見る事が出来、その夢に他者を巻き込むのだ。 「……説明するよりも、見せた方が早い気がします……」 「だから、それはダメ」  この三毛の夢というのはリアルで、そのまま仮想現実のように、痛みも空腹も死すらもある。そして、時間の概念だけがなく、夢から覚めるまで永遠に近い時間を彷徨う。 「でも、俺……説明が下手です」 「その為に、道原がいる。それに、俺には樹来々も付いている」  樹来々とは、地下社会に存在している人工知能で、俺とは通信で繋がっている。その樹来々は、そっと俺を補助していて、知らない単語などを補足し、地図情報などを送ってくれる。 「ま、炭酸水でも飲め」 「ありがとうございます」
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