第二章 十月に雨が降る 二

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 サービスエリアにはコンビニもあったが、他にも沢山の施設が付いていた。シャワー施設もあったのだが、猿だと中に入れない。だが、猿でも自動販売機は使用できるのだ。  だから先程、道原が居眠りした瞬間に、そっと車を抜け出し、自動販売機で酒を探してきたのだ。炭酸水は、その副産物だ。 「夏目さんが自動販売で飲み物を買っている姿……皆が撮影していましたよ」 「え、猿は自動御販売機を使用できないのか????」  猿は不可などという、そんな注意書きは無かった筈だ。 「サービスエリアには、動物がいないせいではないですか?」 「そうか!」  確かに、サービスエリアは車で休憩する場所なので、動物は少ない。しかし、ドッグランが併設されていた。 「犬はいいな……」 「猿は少ないですから……」  猿にも休憩場所や、遊ぶ場所を用意して欲しいものだ。  そして、同じく自動販売機で売っていたチョコを渡すと、三毛が少し外を見ていた。 「三毛は、通常社会の生まれだろう?そんなに珍しい景色か?」 「通常社会の事は、あまり記憶にありません……」  三毛にも、多くの謎がある。
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