第二章 十月に雨が降る 二

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「まあ、いいや。それで、辰見だけど……」 「はい、辰見は父の所に行くと言っていました」  その父というのは玲央名で探偵だった。 「辰見は、家庭が複雑で…………」  その部分は、三毛には説明が難しいので、道原が目を覚ますと、図解してくれた。 「地下社会は、結婚しても戸籍が無いので、事実婚みたいなものです」 「法律的には何もないという事か?まあ、そうだな」  実際にはアレコレしがらみがあり、法律よりもややこしい部分が存在する。しかし、書面上には何も存在していない。地下社会では家族という概念もなく、個だけが存在しているといっていい。  俺は通常社会で結婚していたが、これは税金などの処理を管理、画一的に処理できる方法だと分かった。税金が無いので、地下社会では個しかないのだろう。 「凜子さんは、地下社会の生まれでした……」  だから、玲央名と凜子は結婚しているが、法律的には何も存在していない。 「その事で、少し複雑になっています」 「うむ。何となく、分かった」  そして、道原が説明を続けた。    
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