第三章 十月に雨が降る 三

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 亜子の婚約者は、従兄弟の廣川綾人。亜子とは共に育っていて、仲の良い兄と妹のようだったという。そして、綾人は幼い頃から亜子の家の仕事を手伝っていて、最初から跡取り候補だった。 「玲央名さんは、亜子さんが何を怖がっているのか知ろうとした。すると、次々と人がいなくなっていた事を知った」  亜子の曾祖父は、当時としては珍しかった芝生の栽培を始め、ゴルフ場の建設ラッシュで大儲けした。そして、祖父の代では、造園業でも、イベント用のものを販売し、商売を起動に乗せた。そして亜子の父親は、観光農園を始め、都会からの客を呼び込んだ。 「最初は、亜子の父親の妹がいなくなりました。失踪という形で処理されています」  その女性は、造園業を手伝っていて、職場付近でいなくなった。そして、その後、誰も姿を見ていない。 「いなくなった女性は、作業着のままで、お金も持っていなかったとされています。だから、何かの事故で、どこかに埋まっていると推測されて、探していました」
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