第一章 十月に雨が降る

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「また……小遣いが無くなったのですね……どうして、計画性を持って使う事が出来ないのですか……」  俺も、計画性を持って小遣い使おうと思うのだ。しかし、誘惑に負けてしまう。 「うううう……」 「追加の小遣いはあげません!」  道原が俺の小遣いの管理をしているわけではないのだが、言い切られてしまうと、反論できない。これは、俺に小遣いを使ってしまったという負い目があるせいだろうか。 「……明日から、水を飲んで生活する……」 「水はいつも飲んでいるでしょう。水だけの生活です」  そんなに虐めなくてもいいだろう。  俺は助けを求めて周囲を見回したが、俺が道原に怒られている景は普通になっていて、誰も気に留めていいなかった 「……おにぎりください」 「そのくらいなら、差し上げますよ」  だから、最近の道原の一芸は、俺の扱いに長けた所だといわれてしまう。 「はい、夏目さん。おにぎりです」 「よく持っていたな……」  しかも、具の入っていない、ただ真っ白なおにぎりだ。そして、塩おにぎりとならまだいいが、その塩味もしていない。 「道原、せめて塩味」 「あ、忘れていました」
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