第三章 十月に雨が降る 三

4/16
前へ
/101ページ
次へ
 これが映画の世界のようだと評判になり、ドラマのロケにも使用されたので、地元の名所になってしまった。  そして、すっかり観光地として定着したので、今度は古民家を改造した、地元の野菜や総菜を売るショップを建てた。そのショップを無償で提供しているお陰で、イベントで道路が渋滞しても、文句を言う人はいない。地元でも、人気の名家なのだ。   「評判は上々か……」 「最近は蛍の地として、人々が訪れていました……」  これも、映画の影響だったらしい。 「そして、消えた家庭教師ですが……」  その家庭教師は、亜子の大学受験の為、頼んでいた人だった。田舎なので、予備校などもなく、近所の受験生も一緒に学んでいたという。 「家庭教師というよりも、予備校の講師か……」 「それも、安価で提供していました」  しかも、夕食や夜食なども提供していたという。 「家庭教師を探している最中に、叔母の夫がいなくなりました」 「続くな……」  そして、依頼では亜子が婚約していた従兄弟が消えた。 「玲央名さんは、亜子さんが何に怯えているのか知ろうとした」
/101ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加