第三章 十月に雨が降る 三

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 長男が生まれてしまった事で、その場所にいられなくなったのだ。 「そして、辰見 峻人が産まれました」 「亜子も次男を産む」  玲央名が、裏社会でやっていた、時雨探偵事務所も人探しで有名になった。凜子とも順調で、その後、美柑と檸文も生まれる。だが、亜子も次男を産むのだ。 「……玲央名さん……」 「……裏社会の人間ですから……」  だがそれは、二十年ほど前の出来事だ。  そして、今回、玲央名が亜子の元に行ったのは、離婚の為だったという。 「玲緒奈と亜子の結婚は、下の息子が二十歳になるまでという、期間が設定されていました。だから玲央名さんは、亜子さんに会いに行った」  だが帰って来ないので、辰見が玲央名の元に行った。 「何らかのトラブルか?」 「そうかもしれません」  しかし、事前の連絡では、亜子も離婚を承知していたという。 「まあ、玲央名さんの、この妙に詳細な業務日誌を頼りに、俺も少し探してみよう」  だが、今日はここで眠っておきたい。  この猿の姿は、とても疲れるのだ。  俺が寝床を作成していると、道原が俺を拾い上げて匂いを確認すると、頬擦りをしていた。
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