第三章 十月に雨が降る 三

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「モフモフ……モフモフ」  この道原は、見た目が良いのに、このモフモフ好きでかなり損をしている。 「匂いを嗅ぐな!」 「夏目さん!風呂好きなのに、体を洗わないからです!」  そして、最近の道原は俺の言い分に反抗するようになってきた。  自我が芽生えるというのは良い事だが、従順な道原も好きだ。俺がジタバタしていると、道原は俺をフカフカのタオルに包んで抱えると、そのまま眠ろうとした。 「抱き枕にするな!」 「夏目さんが、すぐに脱走するからです!」  最近の道原は強い。 「それに。このモフモフは、俺のです」 「主張するようになったな……」  しかし、道原は俺から頬擦りすると、真っ赤になって逃げてゆく。そういう部分の根性は無いのだ。 「夏目さん、舐めるのは止めて下さい」 「味見だ」  道原が嫌がると、嬉しいので、つい頬などを舐めてしまうのだ。そして、ウトウトとしてから、重要な事を思い出した。 「三毛!夢を見るな!」 「そんな……分かりません」  そして、目を閉じた瞬間、三毛の夢に巻き込まれていた。 「三毛…………」 「やられましたね……」
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