第三章 十月に雨が降る 三

8/16
前へ
/121ページ
次へ
 そして、それは道原も道連れだった。  三毛は夢で過去を見る事が出来、それは夢と済ませるにはリアルで、まるで体験だった。  俺達は夢の外の存在のはずなのに、何かになっている場合もある。もしくは、俺のままで、過去に存在している事もある。  そして、今回の俺は人間の姿だったが、身長は小学生だった。 「……どうして、夢なのに子供なのか……大人の姿にして欲しい」 「夏目さんの中身に合わせているのでしょうか……」  俺の中身は、かなりのオッサンだ。子供も二人いて、多分、そろそろ大学生なのではないのか。それこそ、俺の中身は、道原の父親にも近い年齢だ。 「俺の中身は、大人だ」 「精神年齢の方です」  俺は捜査官も十年以上していた。精神年齢も立派な大人だ。 「まあ、動ければいいか……」 「しかし、誘拐されそうな姿です」  夢の中なので、誘拐はされないだろう。  そして、夢の中だというのに雨が降っていた。 「まず、玲央名さんの業務日誌は全部読んだ。かなり細かくて、いい記録だと感じる」  やや情緒的に書かれている部分もあるが、事実は事実として記載されている。
/121ページ

最初のコメントを投稿しよう!

50人が本棚に入れています
本棚に追加