第三章 十月に雨が降る 三

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「その業務日誌によると、亜子の叔母、良美がいなくなったのは雨の日だった」 「日誌に天候もあるのですか?」  玲央名の業務日誌は図解も多く、どこか絵日記にも似ていた。 「職場でいなくなったので、皆は職場の付近を探し尽くした。だから、いなくなった本当の場所は、職場ではない」  だが、その職場というのは木々や植木を育てている場所で、野外であった。 「そして、この雨。予報通りの雨だった」  天気予報は当たっていて、外で作業するのならば、必ず確認しただろう。だから、良美は昼から雨が降り、作業が出来ない事を予測していた。 「この夢は雨が降っている」  道原は時計をしているが、この時間が合っているのか分からない。そこで、空を見上げると、雲間に隠れている太陽の位置を確認した。 「時間は昼過ぎ」  良美は弁当を持って行っていた。そして、一緒に植木の剪定をしていた仲間と食べた。  そして、降り出した雨を見て、今日はこれで帰ると言った。 「水の流れから推測すると、この夢では、雨が一時間ほど振っている」
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