第四章 十月に雨が降る 四

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「家庭教師の竹本は、元は予備校の講師だった。しかし、熱血すぎる指導だけなら良かったが、生徒への干渉が激しく、ストーカーだと言われて解雇された」 「女子生徒の両親が、訴えると怒ったそうです」  竹本は誤解だと言ったが、それは事実であった。竹本は、執着した女性の二十四時間を知りたがる傾向があったのだ。そして、その時、執着してしまったのが件の女子生徒だった。   しかし、それは執着した女性に対してだけで、他の人に対しては、真摯な良い先生だった。 「竹本は……少し出来の悪い人物に執着してしまう傾向があった」 「優等生には執着しない」  竹本の講師としての能力は優秀だった。  そこで、廣川家は家庭教師として招いた。そして、亜子や他の受験生は、メキメキと成績を伸ばしていった。 「竹本は、弥生に執着した」 「弥生は…………少し出来の悪い人間。でも、必死に頑張っているように見えた」  そして、竹本は弥生を二十四時間監視しようとしていた。 「弥生の車のGPSを竹本は監視していた。だから、良美の職場へ行った事、車が川で止まった事を把握していて、弥生の行動を不審に思った」
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