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「……辰見、無事でしょうか……」
それは無事だろう。だが、きっと何か事件に巻き込まれているのだ。
「三毛は辰見がお気に入りだな」
「…………はい」
三毛は真っ赤になっていて、辰見は目立たないけれど、とても優秀なのだと褒めていた。俺も辰見は優秀だと思うが、真っ赤にはならない。
「ふむふむ」
「夏目さん、からかうのは止めておいてください」
そこは、人の恋路を邪魔する者は馬に蹴られる設定らしい。
「恋路?????」
「邪魔しない!」
しかし俺は、三毛が可愛い彼女を連れて来る事を夢みていたのだ。既に、三毛の親みたいな気分だった。
「道原」
「泣かないでください」
そこは、三毛の幸せを願うしかない。
車は順調に進み、朝食はキッチン喜多村で食べられそうな距離になった。
「キッチン喜多村」
「今も営業しているのでしょうか?」
キッチン喜多村は、売店に卸す弁当がメインになっていたが、今も定食屋として営業していた。
しかし、店の前には荷物が置かれ、ドアも曇っていて暗い。だから、営業中の看板が出ていなければ、とても営業しているとは思えない。
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