第四章 十月に雨が降る 四

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 キッチン喜多村の横にあった駐車場に車を止めると、道原が俺を抱えて外に出た。 「ペット可ではないでしょう……」 「ダメかな……」  確かに、ペットを連れて入れる飲食店は少ない。それに、ここでは弁当の仕出しもしているので、余計に無理だろう。  道原が店頭で迷っていると、女性が出て来て俺を見ていた。 「おはようございます。綺麗な猿ね」  俺が手を挙げて挨拶すると、女性は大笑いして俺の手を握った。 「いやああああ、可愛い!!!!!名前は何ですか?」 「夏目です」  そして、店内はペット不可だが、庭にテーブルを出すので、そこで食べてもいいと言ってくれた。 「ペット連れの方も多いのですか?」 「はい。廣川造園さん、ドッグランも充実しているので、遠方から犬を連れた方がいらっしゃるのです。それに、料理のアドバイスもしてくれて……ペットと一緒の地元料理とか、地元野菜というメニューもあります。でも、猿用はないかな……」  ペット連れの場合は、この庭での食事を勧めているという。
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