第四章 十月に雨が降る 四

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「比べて、亜子さんは品行方正で、とてもいい人で。何度も助けて貰っているな……苦労した人は違うのかな……」  どうして、そこで亜子の名前が出てくるのであろう。まあ、そこで比較されてしまうので、きっと弥生は亜子を嫌っているのだろう。 「亜子さん?」 「廣川造園の社長なのよ。こっちにすると、まだ若いと思うけれど、君達のお母さんくらいの年齢ね。私達夫婦は、長く子供が出来なくてね……でも、年を取ってから、ポロっと二人出来たのよ。それで、子供の年齢が近いから、亜子さんとも学校で会ったな……」  そして、亜子の苦労というのは、家族に縁が無いという所だった。 「亜子さんの旦那さんもね……他に職業があるとかで、年に数回しか来ないしね。それに、廣川造園とは、全く関わっていないみたい」  玲央名は、年に数回はこっちに来ていたらしい。 「亜子さん、息子が二人いて、とても優秀だけど……お父さんが亡くなってから、頼れる人もいなくて、大変よね……」
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