第四章 十月に雨が降る 四

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 そして、廣川造園は新しい成功をする度に、幾人もの人が消えるという話をしてくれた。それは、土地の長者伝説にも繋がっていて、金は人を食うという怪談にもなっているらしい。 「二十年前になるけれど、廣川造園では五人が消えた」 「五人ですか???」  消えたのは、亜子の叔母と家庭教師、そして庭師が消えて義理の叔父もいなくなった。更に、亜子と婚約した従兄弟も消えた。 「最近も、亜子さんの息子が造ったグランピング施設が、予約でいっぱいだとか……亜子さんが、怖がっているな……」  亜子は二十年前の悲劇を繰り返したくないと、周囲に言っているらしい。  そこで亜子は長男を公務員にして、廣川造園とは、あまり関わらせないようにしていた。だが、長男は地域興しとして、グランピングを始め、成功させてしまった。 「長男の孔士君。最近は二人目が産まれたみたい……」  そして、玲央名がこの土地に来たのは、離婚の話ばかりではなく、この孫の祝儀を渡したかった面もあったらしい。 「色々な話をありがとうございます。グランピングも調べてみます」
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