第四章 十月に雨が降る 四

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「いや、弥生が口説いたのかもしれない」  元々、弥生とこの義叔父という人物は恋人だった時期があるのだ。 「でも、同時期にいなくなった……」  玲央名の業務日誌によると、この義叔父は何かに気付いていたようだ。だから、本当に失踪という形で、逃げている可能性が高いとされていた。 「義叔父は、どこかで生きている?……」  失踪する程の、何かがあったのだ。 「さてと、次に行くか」 「橋の下に行った意味が分かりません」  それは、滑りやすく、事故として処理できる状態だったという事を確認しておきたかっただけだ。  この確認というのは重要で、書面だけでは理解できない。 「辰見……」 「辰見と合流するか……」  辰見は玲央名を探しに来たので、きっと廣川家にいるだろう。 「シマちゃん、一号に戻る!」 「車に変な名前を付けないでください!」  シマウマ柄なので、シマちゃんだ。
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