第五章 十月に雨が降る 五

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 すると、あっという間に空が真っ暗になり、土砂降りになったが、それも通り過ぎて行った。そして、先程の雨が嘘のように、元の快晴に戻った。 「ちなみに辰見、二十年前の失踪事件。三人までならば、白骨かもしれないが見つけられそうだ」 「やっぱり…………夏目さんです……」  辰見によると、玲央名は人探しには向いているが、事件を解決するような探偵ではないらしい。 「事故ですか?」 「いいや。この土地には、サイコパスがいたわけだ」  女性の連続殺人鬼は少ないが、サイコパスはいる。 「まあ、雨が止んだ。玲央名さんの所に行く」 「そうですね。俺も、亜子さんに友人とペットを、離れに宿泊させたいと報告しておきます」  俺はもしかしてペットなのか。 「辰見、俺はペットではない!」 「説明用です。ペットとは思っていません」  そのまま辰見と外に出ると、雨は止んだが至る所に水溜まりが出来ていた。そして、その水溜まりに、緑と空が映っている光景は綺麗だ。 「道原!」 「はいはい。持ってきますよ」  俺は道原に長靴を用意して貰うと、辰見から降り、一つ一つ水溜まりの景色を堪能していった。
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