第五章 十月に雨が降る 五

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「どうやって調べた??????」  辰見が能力を持っているように、玲央名にも何かがあるらしい。そして、警察を呼んだというので、いずれ四体が誰なのか分かるだろう。 「それで、洋館ですが……」  洋館は庭園見本園の中に存在し、案内所も兼ねていた。そして、庭で接待しているのは、まるで女優のような女性だった。 「亜子さん?」 「そうです」  亜子の接待は、真面目で丁寧だが愛想のようなものが全くない。黒髪はまとめて後ろで丸め、そこに黒いパンツスーツではとても地味だ。まるで、火葬場の職員のような雰囲気なのに、そこの空間は輝いている。  それは亜子が持っている輝きで、道原の親と言ってもいい年齢なのに、美しい人形のような人だった。 「未久さんも綺麗だけど……」 「そうですね、亜子さんは静かな美しさです」  道原の母親、未久は迫力のある美女で、綺麗と言わないと宇宙まで蹴り飛ばされるだろう。しかし、亜子の美しさは、沈んでゆくようで、雨の日の木々のような感じもする。 「女性は、皆、年齢不詳か?」 「夏目さんも、年齢不詳です」
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