第六章 夜に咲く花も在る

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 そして、亜子が俺に話したかった事は別にあった。 「夏目ちゃん、二十年前の失踪事件。遺体を見つけてしまったのね……」 「でも、何か変です……」  まず、遺体の数から分からない。  四人以上失踪しているので、四人という数字でもよい筈なのだが、どうも納得できない。まずは、誰なのか早く知りたい。 「玲央名さんは、全然ダメだったのにね」 「玲央名さんは、事件を解決してゆくタイプではありません。だから、生きている人しか探せないのです」  現在は、三毛も協力しているので、ある程度の事件は解決出来てしまうかもしれない。だが、三毛は見せるだけなので、動機や原因などは、やはり捜査が必要となってくる。  事件は、犯人が分かれば良いというものではないのだ。それに、原因を追究しておかないと、再発する。 「私はね……二十年前の事件。犯人とかは、どうでもいいの……ここに住んでいるとね……本当に因縁とか因習とかが多くて、人は世界を見失ってしまう。だから、この土地が悪いの」
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