第六章 夜に咲く花も在る

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 そして三毛は、目を開いているのに、フラフラしていて半分眠っているようだった。そして、そんな三毛を辰見が世話していた。 「三毛、ベンチに座る」 「イエス……」  三毛は、辰見の言う事ならば、素直に従うらしい。 「三毛は、門の観音像に埋められた白骨が誰なのか分かっているのか?犯人は弥生だろうけど……」 「いいえ……キッチン喜多村……あれは……その……あれこれ……あって」  三毛のたどたどしい回答で、辰見は理解したらしく、大きく頷いていた。 「ああ、埋められている人間が見えても誰なのかは分からない。それと犯人は弥生さんだけど、協力者がいた……キッチン喜多村の車が見えたけど、その意味は分からない」  よく、あの短い言葉で理解できるものだ。だから、三毛も辰見を頼りにしてしまうのだろう。 「……弥生さんは、その……今は……」 「ああ、弥生さんは、昔は、悪い噂しかなかったけど……。今は……それが、又、人気の店員です」  弥生は、近くの物産展で品物を売っているが、誰にでも話し掛け、しかも楽しく会話する名物店員になっていた。
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