第六章 夜に咲く花も在る

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 俺が道原に手を振っていると、あちこちからカメラを向けられてしまった。 「うわああ、可愛い!!ぬいぐるみかと思ったら、ちゃんと生きて動いている!!!」 「ガチャ〇ンって、子供がいたのか!!子ガチャ????」  やはり、勝手に名前を付けるのは良くない。俺は夏目なので、夏目と呼んで欲しい。 「可愛い!!!!!目が丸くて……何か食べるかな?????」 「アイス??」  俺は乳製品が食べられないので、顔にアイスを近付けないで欲しい。それに、一般人に話し掛けるのは不味いので、ここは猿になっているしかないので辛い。  俺が太郎の背に乗って逃げていると、女性達が更に集まってしまった。 「可愛い!!犬に助けを求めている」 「凄い!!!種類は検索しても出て来ないけど!!毛玉みたい!可愛い!!!」  ビスケットを食べさせようとしたり、バナナを持たせようとしないで欲しい。 「ペットに餌をやってはいけませんよ。飼い主に怒られてしまいます」  そして、助けてくれた女性がいたので見上げると、それは弥生であった。 「それと、触れるのも禁止です」
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