第一章 十月に雨が降る

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第一章 十月に雨が降る

 その日は、朝は晴れていたというのに、昼過ぎから雨がパラパラと降り出し、二時を過ぎる頃には、空一面が黒い雲に覆われた。 「暗くなったな……」  雨は、やがて会話も消される程の土砂降りとなり、周囲は夜のように暗くなった。 「台風でもないのに、凄い雨だ……」  側溝からあふれ出た水が、道路を伝い、坂道の下に流れてゆく。その先に川は無いので、溜まった水は嵩を増し、やがて車を沈めるような深さになる。 「夏目さん!呑気に外を眺めていないで下さい!夏目さんの家は、山を越えた向こうですよ!舗装されていない道!四駆で川を超えるような状態です!」 「知っている。だから少し困っている」  やっと爆破された銀鏡学園の改修が終わり、梅花クラスの教室が出来たというので、来てみれば雨だ。  それも半端な雨ではなく、帰れないのではないかという豪雨になった。
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