チャイムの音が、

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 翌日は、朝からバイトだった。モウフは布団から出なかった。窓の方を向いて寝ていて、表情さえ確認できなかった。  一日中、モウフのことが気になって、仕事が手につかなかった。漸く退勤時間になると、僕は風のように家路を駆けた。  なのに、玄関の前に着くと、どうすればいいか分からなくて、暫く立ち尽くしていた。  まだ寝ていたらどうしよう。起きていたら、なんて声をかけたらいいんだろう。  しかし、この扉とにらめっこしていても答えは出ない。僕は意を決して、チャイムを二回鳴らし、鍵を回した。  ドアノブをゆっくり引くと、部屋の中から温かな光が流れ込んできた。  顔を上げると、部屋の真ん中に屈んでいる、モウフの背中が見えた。 「ただいま」 「おお、おかえり」  こちらを振り返って、にこりと微笑むモウフと目が合った。
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