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「関係ないだろ、お前たちの世界には……」
「胸糞悪いんだよ、俺がこんな人生を選んだという、その事実があることが」
「だとしても、僕はお前と仲良く暮らせそうにないね。モウフを返せ!」
「安心しろよ。――完璧な世界線には、お前もいるから」
その時、チャイムの音がした。立て続けに、二回。鍵を回す音の後、扉が開かれ、冷たい風が背中を撫でた。
「ただいま――」
それは、この世で一番聞き馴染んだ声だった。
――了。
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