チャイムの音が、

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 暑さが漸く和らいで、時折肌寒い風が町を駆けるようになった。モウフも繁忙期を超えて、机に向かう時間が増えた気がする。  僕も丁度、夏の課題を提出したところだった。 「次の公募はいつの予定なんだ?」 「お前はいつもそんな話ばっかりだな」  モウフは僕を見て、目尻を下げる。 「これまでの作品を確認しているだけさ。公募に出すとかは、具体的に考えてない」  中途半端な回答に、僕はまたがっかりした。  確かにモウフは、マウスホイールを弄るだけで、キーボードには全く触れていない。 「モウフ……僕がなんで、イラストレーターになりたいか、知ってる?」 「昔から絵を描くのが好きだったからな、お前は」 「僕は、モウフの小説の表紙を手掛けたいんだ。かっこいいだろ? 兄弟で芸術家だ!」  すると、モウフは嘆息と共に微笑んだ。どこか、憐れむような目だった。 「目の前にいる奴のことなんて、もう気にしなくていいんだよ。もっと広い世界を見るんだ、ジャンパー」
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