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「僕は……モウフが、ある日突然小説を書くのを辞めるんじゃないかって、それが怖い」
視野が狭いと言われたって、僕の夢は、モウフと一冊の本を出すことだ。
これを聞いて、モウフがどんな表情をするか、見るのも怖い。俯いていると、その脳天に、ぽんっと軽い衝撃があった。
「誰が辞めるって言ったんだ?」
ぐずる弟を宥めるように、兄の大きな手が、優しく頭を撫でた。
「こうして俺は創作と向き合っているじゃないか。公募に出すつもりはあるよ。今はその予定がないだけだ。作戦を立てているんだよ」
ゆっくり顔を上げると、モウフは温和に微笑んでいた。
「ジャンパーの夢が、俺の夢であることも分かった。それを否定してるわけじゃない。でも、俺のことばかり見ないようにするんだぞって、そういう意味で言ったんだ」
「じゃあ、モウフが本を出す時、絶対僕に声かけろよ!」
「当たり前だろ。でも、それは最終ゴールだ」
「え?」
「どうせジャンパー先生に描いてもらうなら、ベストセラー作品でないと、失礼だからな」
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