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翌日から、僕らの創作活動は一気に熱を持った。モウフは寝る間も惜しんで机に向かい、仕事の休憩時間にもパソコンを開いているらしい。今までの作品の良いところを繋ぎ合わせて、一つの作品が出来そうだと言っていた。
チャイムが二回、それから鍵の回す音。その音が、お互い楽しみで仕方なかった。
「ただいま!」
モウフが仕事から帰って来て、或いは、僕がバイトから帰って来て、その挨拶を合図に、創作の進捗を報告し合う。
僕は、モウフの創作ノートを見て、思わず声を上げた。
「結末まで考えきったんだ!」
「いやあ、こないだのジャンパーの助言がなかったら思いつかなかった。ちょっと方向は変わったけど、付焼刃的なオチになっちゃ、かっこ悪いからな」
モウフも、僕のスケッチブックを見て言う。
「すごく俯瞰的な構図になったな。余白が綺麗だ」
「今までは色々描きすぎてたんだ。去年の練習帳を見返したら、目がチカチカしたよ」
いよいよ明日からは、お互い清書に入る。その夜は、まるで遠足の前夜みたいに興奮して、二人で布団の上に飛び込んだ。
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