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問題
取引先との折衝から帰社した吉田に、直属の上司である課長が訊ねた。
「で、どうだ。なにか問題はあったか」
「問題。問題があったか。それはですねえ」
吉田は堰を切ったように話し出した。
「あるといえばありましたし、ないといえばなかったですね。まあ、あるようなないような、あったといえばあった、なかったといえばなかった、うーん、なきにしもあらずともいえるし、ありやなしや、あったほうがこの際、いや、なければないでまたそうだし、難しいなあ、あったようななかったような、あり得たともいえるしあり得なかったともいえるーーあるないあるない、あった気がするがないような気もするし、いいやあるはずもなくないはずもなく、またあるとも言えるとも言えないとも、ないとも言えるとも言えないとも、あるのかないのかもうどちらとも」
「問題ありだな」
課長は吉田の発言を遮って言った。
「おまえの頭が」
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