黎明

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わずかな明かりが灯す、幽玄な美が満ちた空間。 白髪の巫女が三方(さんぽう)を持ち清風の前に座り、懐から出された起請文を受け取り姫の前に置く。続けて若い巫女と共に麒麟の姫の顔を覆う、薄布の端を持ち上げはずし、後ろにたたみ置くと元の場に戻る。 現れた麒麟の姫の額には、金の繊細な細工が施されている冠が覆うようにある。そこには季節の花、淡い桃色の山茶花(さざんか)があしらわれ、顔の左右に珊瑚の玉が連なるものが、幾重にも重なり下がっている。
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