黎明

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その風貌は典雅(てんが)であり優艶(ゆうえん)。 白い肌に映える艶のある紅い唇。邪心、虚飾(きょしょく)などない、澄んだゆるやかな美しい目。悠久のときを超え讃えられる螓首蛾眉(しんしゆがび)そのもの。 三方の上に置かれた起請文に伸ばす手の爪先には、紅が淡く色付いている。そして連なり書かれている八咫烏の名を呼ぶ。伊藤博文。 呼ばれた者は返事をし立ち上がり姫の前に進み、頷きを得ると一礼し順に座る。続いて高杉晋作、山県有朋、久坂玄瑞、井上雅、井上馨、赤根武人、有吉熊次郎と呼ばれていき、姫の前に八人揃った。 ※螓首蛾眉 色白で額が広く、蛾の触覚のように三日月型の美しい眉をした女性 総じて美人
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