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「嘘なわけあるか。アイツらに確認してくれてもいいんだぞ。あの時は付き合いが長くなって、甘えがあって……でもそれじゃダメだったって今ならわかる。ごめん。」
彼の言葉に首を横振って「大丈夫、信じるよ」と返す。
何事にも彼が正直だったのをあたしは知っている。
今考えたら別れた頃もきっと正直なあまり中だるみした関係に少し綻びがでて、あの態度になってしまったんだろう。
決して、ほかの女の子と浮気をしようとかそういうことをしていたわけではない。
「なぁ、返事は?もしかして彼氏いたりする?」
「いないよ……」
「そっか……」
少し安心した表情になる。
何度も恋人を作ろうとしたし、紹介してもらったりもしたけどどうしても比べてしまってダメだった。
「じゃあ、俺とまた付き合ってくれるんか?」
「約束だからね。仕方ないなぁ」
「なんだよ、それ。ちゃんと言えよ」
あたしの返事に納得しないようで、不貞腐れたような顔になる。
「好きだよ。ずーっと好き」
「はーーーやっと耶弥が戻ってきた」
そのままあたしの手を取って、自分のほうへと引き寄せて「おかえり」って言う。
それは、些細なことでよく喧嘩していたとき仲直りをする度に彼があたしを抱きしめて言っていた言葉だった。
「ただいま」
あの時と同じように彼の背中に手を回してぎゅっと抱きつく。
「帰ってくるのに5年もかかっちまったな」
フッと笑った彼が軽くあたしの唇にキスを落とす。
ずっと縛り付けていて恋の呪いが彼によって解かれて、新たな未来を2人で描くのはすぐそこの話。
-Fin-
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