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「俺が悪いのはわかってる。でも、耶弥のことが好きだから別れたくない……!」
「それ、もっと早く聞きたかったな。じゃあさ、ひとつだけ」
「なに?」
「4年経って、大学卒業してもあたしのことが好きだったらまた言って」
何か言いたげな彼だったが「ずっと好きだから、そんなの簡単だ」って言い放ってあたしたちは別れることになった。
4年経って……と自分が言った言葉はなんとなく、恋の呪いのようにあたしを縛り付けていたのだった。
***
「おめでとう!」
気がつけば大学を卒業して、社会人になっていた。
高校の友人が結婚する姿をみてあのまま付き合っていたらあたしたちにもそんな未来があったのかな……なんて彼のことを思い出した。
4年どころか5年が経った。
4年たったとき、彼があたしに連絡を取ろうとしたかどうかはしらない。
あたしは高校を卒業してすぐに携帯番号を変えたし、彼には進学先もつたえてなかったからあたしの居場所も知らない。
意地悪かと思ったけど、本当にあたしのことが好きなら意地でもみつけだすだろうし、その努力がないってことはそこまでだってことだと思ったからだ。
「縁山くんは来ないの?」
「さぁ?」
「縁山くんと耶弥が1番に結婚するとおもったのになぁ」
「はは、もうあっちもあたしのことなんて忘れて幸せなんじゃないの?」
知らないけど。なんて言うけど、あたしはバカだからいまも彼のことが好きだ。
でもあの時別れなければ良かったなんて思ってはいない。
あのまま付き合っていてもあたしの心は壊れるだけだったろうから。
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