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「こんにちは」
僕の部屋に日本人形を抱いた小学生くらいの見知らぬ少女が入ってきた。
自分の部屋なのにその子の周りだけ、違う空間のように感じる。
「君は誰だ。なんで僕の部屋に」
「なんでって、ご挨拶に来たのよ。あなたはこの子のパートナーだから」
少女の視線は人形へいく。
「僕がこの人形のパートナー? 言ってる意味が分からないんだけど」
「あなたはこの子ととても相性がいいの。だからこの子が人間になる時にあなたが必要なの」
「ふざけるなよ」
「ふざけてなんかいないわ」
僕は思わず目を背けた。
少女が笑った時に人形の表情が動いたような気がしたからだ。
「この子はまだ人間の所作を勉強している最中なのよ。人間らしく振る舞えるようになったら、あなたを取り込んで人間になるの」
「ふざけたこと言っていないで、とっとと出ていけよ」
「この子は優秀だから、すぐにここへ帰ってくるわ。待っていてね」
「二度と来んな!」
僕は自分の声で目が覚めた。
あまりにもはっきりした夢で薄気味悪かったが毎日の生活で、勉強に部活にと忙しく次第に忘れていった。
ベッドに寝転がってスマホゲームをしていると空気が変わった気がした。
何かが近づいてくる。
僕の部屋のドアが開く。
「ただいま」
少女に抱かれた日本人形がそう言った。
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