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男は嫌いなはずだった、だが自慰してる陽太の姿は、キモいとか一切思わなかった。 寧ろ何故、俺を想像してヤッてるクセに短小ディルドを使ってるのか理解出来ず、その事で少し疑問になったんだ。 「 はぅっ、はぁ…ハッ…ぁ、あっ…! 」 女の様に上擦った声を漏らして、色白の肌を真っ赤に染め、俺の方を涙で潤んだ瞳を向けてくる。 その顔だけで、何かがクる気がして… 無意識に身体を倒し、質のいい黒髪に触れ唇へと噛み付く様に深く口付けを交わしていた。 「 フッ…ン、んッ…… 」 「 ふ、ん…… 」 獣の様にどろどろの肉壁を擦り、奥を押し上げるように腰を振りながら口付けの角度を変えていれば、陽太は俺の肩を撫でて、首裏へと腕を回してきた。 男に触られて、キスをしてるのに嫌じゃない…。 何故だろうか…。 その答えを見つけるべく、 厚みのある舌を歯並びの隙間からネジ入れ、咥内を舐めようとすれば、簡単に擦り合わせて来る。 「( あぁ、やばい……すげぇ、気持ちいい… )」 陽太の咥内で混ざり合う唾液が、溢れる前に喉を鳴らして飲み干され、また俺の舌を求めて絡み付いてくる。 まるで粘膜質の肉壁が陰茎を包み込んで離さないよう、強弱をつけて締め付けてきてる… そんな感じによく似てる。 「 ん、ふっ、はぁ、ハゥ…ハッ…んッ…ぁ… 」 密着する方が気分がいいから、片腕を陽太の脇下から埋めて肩を掴み、反対は頭に手を添えたまま腰を執拗く揺らしていれば、彼は天井の方を見上げ動きが止まった。 「 あ"ーーー…………く、る……… 」 「( ん? )」 何が来るんだろうか? 急にナカがしっかりと開く感じがして、自然と上体を持ち上げて陽太を見ると何処か一点をぼんやりと見詰めたまま動かなくなっていた。 そして開いた肉壁と粘りによって、するりと陰茎が抜けた。 「 あ"あ"ーーー…………… 」 低めの声を漏らす陽太を見て、もう一度挿入する事すら待った方がいいのか? そんな事を考えていれば、彼は一気に身体を跳ねて顔を横へと向けた。 「 っ〜〜〜!!あ"ぁっ……!! 」 まるで達したような反応だが、陰茎からは白濁は吐き出されてない。 だが、陽太の孔からは似たような物が溢れ出ていた。 それを見て、この停止の理由を知る。 「 メスイキしたんだな…。そんなに気持ちいいか 」 そう、オメガの男には通常ある陰茎の他に、体内に女と同じ子宮を持つ。 本来は陰茎側からの射精で欲を放つのだが、希にメス側の子宮が酷く反応してイクらしい。 それを俺等の間では" オメガのメスイキ "と呼んでいる。 実際の女と同じく、陽太は俺の問い掛けに答えられない程身体は小刻みに震え、息を荒くしていた。 一気に吹き出した汗によって彼の額から頬や首筋迄汗が垂れている。 エアコンがガンガンに効いてるこの部屋ですら暑くなるんだから、メスイキって相当キツイんだな…と他人事のように思う。 「 は、はっ……久々に、メスイキ…したから…きつっ…。はぁっー…… 」 「 久々、か…… 」 赤くなった頬に手の甲側の指でなぞり、聞かない方が身の為だと分かっても、問い掛けてしまう。 「 前は誰にヤッてもらったんだ? 」 聞いた程度だが、メスイキの条件はいくつかある。 オスイキによる絶頂の並みが断続的に訪れた後奥を突かれた事でメスの方が反応して、そう行うと…。 つまり…相当オスイキした後でないと出来ないらしい。 鼻で笑って問えば、陽太は少し目を見開いてから俺の方に顔を向けた。 「 え、当人が言う…?俺が初めてメスイキしたの…あの日なんだけど… 」 「 ……そうなのか? 」 あの日は余りの苛立ちで、壁に背中を押し当てたまま犯しまくってたからその反応を見てなかったと思う。 「 あの時は…挿入されたままイッたから…氷翠は気付いてなかったけど…。この感覚は今回で二度目って分かるよ 」 陽太は自らの身体を撫でて、片手を細身だがサイズのある陰茎を掴んで、見せつけるように擦り始めた。 「 だって、俺…普段攻めだよ?孔なんて使うのは余りないし、此処まで気持ち良くさせてくれるの…氷翠だけだよ… 」 「 はっ、よく言う…… 」 その手首を掴み、態と軽く引き上半身を起こさせ腰を支えては、俺が今度は仰向けでベッドに倒れ 下から孔へと亀頭を押し当てる。 「 俺よりセックス慣れしてるくせに…。ほら、陽太の好きなところを突いて見せろよ 」 「 はぁっ、嫉妬?可愛いね…氷翠。いいよ…見てて、君のちんぽで遊ぶところ♡ 」 嫉妬なのかは分からないが、少しだけ他の奴と違うと言う特別感はあって嬉しいとは思った。 色気のある顔で笑った陽太は、男のくせに女の様に見える程に綺麗で、彼は自ら腰を下げて埋め直せば片手を向けて来た為に手を差し出す。 細くて長い指と絡ませ合えば、陽太は反対の手で俺の腹に手を付き、腰を上下に動かしていく。 「 ぁ、あっ…!あ、ッ…! 」 女の様な柔らかみのある肉体でもなく、膨らみのある胸もない。 何方かといえば筋肉質で硬さのある細身だろう。 だが、俺の上で腹下に陰茎の形をボッコリと浮かび上がらせたまま、腰と前にあるちんぽを振って、顔を赤く染め、快楽に染まる姿は悪くない。 手を伸ばし、胸板から桜色の乳首を指腹で弄り、直ぐに腹筋をなぞってから前で揺れるちんぽに指を絡めてやり、先端を中心に擦ればナカはキツく締め付けてきた。 「 まっ、て、また…ぃ、ぐ…っっ…!! 」 他人の精子なんて気持ち悪いものでしか無かったはずなのに、目の前で盛大に飛び散らせる様子は悪くない。 「 はぁ、はっ、ひす、ぃ…… 」 「 ほら、どうした?頑張れよ、元ホスト 」 「 はぅ、はぁ、もぅ、こんな…きもち、いいの…。氷翠、だけ…なんだって…ぁ、アッ…! 」 掴んだ片手を引き、俺の胸板に倒させてから体重をもろにかけて密着する陽太の頭部を撫で、オメガの匂いと汗がする髪へと鼻先を押し当て、腰を揺らしていく。 「 …俺も、こんなに気持ちいいの…御前が初めてだ 」 「 ッ〜!!ぁ、あ……ッ… 」 あの日、俺は確かに苛立ちに任せて犯したが… ナカで放つ気は一切無かった。 それでも何故か、奥へと性を吐き出して擦り付けたいと思ったんだ。 何人かのオメガに会っても、そんな事一切思わなかった程に陽太の前では理性を無くすし、こうして触れ合ってるだけで…快楽を感じて可笑しくなりそうなんだ。 「 ぁ!ぁ、ひす、ぃっ、ぁあっ…! 」 「 ハッ…っ… 」 体位を変えてベッドの上で尻を突き出してる陽太の背中に被さり、奥を突く。 「 ああ"っー…!いぐ!いぐ、また…めす、いきっ、しちゃぅ、ぁあ……! 」 「 はっ……どうぞ、ご勝手に… 」 「 あ"ーーーー……ッ!!! 」 汗と欲に塗れながら、時間を忘れて何時間も獣ようなセックスを行う。 それによって、理性が崩れた陽太は… 生理的な涙を流して、枕に頬を擦り付けて背後にいる俺の方を見て、口にする。 「 氷翠…ごめん。俺は…君と、本当の家族になりたいんだ…っ、だから……番、に、させてぇ、ぁ…ぁっ…! 」 「 家族…… 」 家族、なんてものは…。 俺にとってもう…存在しない者と思っていたが… 陽太が俺のように人殺しでもいいと言うなら、俺はその言葉に否定する気はない。 彼の胸元に手を掛け、上半身すらを起き上がらせるのを手伝い、首筋へと顔を寄せれば陽太は気付いたらしく俯いた。 「 あぁ、俺の……家族になってくれ…… 」 「 ぅ、ん……!!っ…… 」 番契約は、行為中にアルファがオメガの首筋を噛むことで成立する。 その成功率は大体60%と言われているほど、高い訳でもない。 だが、俺達は…都市伝説や幻となってる " 運命の番 "と呼ばれるものだった。 その成功率は遺伝的に相性が100%同士である為に、 番の成功率も100%である。 そんな事を知らずして、首筋を強く噛めば… 陽太は大きく反応した後に涙を流した。 「 なに、これ…嬉しいのに…悲しいなんて…ぁ!っ… 」 「 陽太、気づいてないのか。まぁ…オメガは分からないよな 」 「 なにが…? 」 彼の肩を掴み、繋がったまま仰向けに戻し軽く被さっては見下げる。 涙で濡れた頬に手を滑らせ、小さく笑みを向けた。 「 俺達は…運命の番だ。陽太は…俺の運命のオメガだった… 」 「 っ……そんなの、気付かなかった…。でも、確かに…氷翠にちょっとでも触れられただけで…性欲やばかったかも… 」 「 ふっ…最初から、抱かれたいならそう言えばいいのに…陽太なら、いつでも抱いていた。あんな短小で遊ぶよりな…俺のちんぽで遊んでくれ 」 「 っ…だって、氷翠…男嫌いだら…。嫌なのかなって… 」   腕を掴み、自らの首裏へと誘導しては少し不満そうに頬を膨らませた陽太に様子に笑ってから、触れる程度の口付けを落とす。 「 男は嫌いだ…。俺自身も嫌っているが…。陽太は、好きだ…。俺を大事にしてくれるから… 」 「 っ…… 」 俺が嫌いな男は自分勝手で身勝手で、弱者を虐めて強者気取りをしてる奴等だが…。 陽太はこの一年、俺との距離感を考えながら、 素の笑顔を向けてくれた。 料理も最初の頃は焦がしてるばかりで不味かったけど、氷翠の為に…って呟きながら料理の練習をしてるのも知ってる。 そして何より… 俺には勿体無いぐらい健気で優し過ぎるんだ…。 「 うっ、ごめん……嬉し過ぎて…めっちゃ、泣けてる…くる…。俺の方が、氷翠…好き、大好き…… 」 「 知ってる。分かりやす過ぎる…俺は流石にそこまで鈍感じゃない。これでも察しろ、と姉に言われ続けて育ったからな… 」 「 ぅ、なら…この一年…めっちゃ頑張って…我慢したから、いっぱいキスして、ハグして…。エッチも沢山したい… 」 「 ふっ……あぁ、我慢してくれてありがとう。もう、我慢しなくていい… 」 俺が嫌いな人種と陽太は完全に違う。 それが分かった時点で、俺は陽太が好きだったんだと実感できる。 男だから陽太も嫌い…そんな事はない。 陽太は、陽太でしかなかった。 「 ぅん……! 」 我慢を沢山させたのに、それでも陽太は笑顔で 俺との口付けを受け入れてくれた。 大切にするから… 如何かこれからも、俺の傍で笑ってくれ。 「 ねぇ、氷翠。赤ちゃん欲しくない?もし君が欲しいなら…避妊薬入りの抑制剤やめちゃうけど 」 「 そうだな…2年恋人を経験し、1年夫婦を経験してから…欲しいかもしれない 」 「 俺…35歳ぐらいになるなぁ……。それはちょっときついから、半年恋人、半年夫婦でどう? 」 「 ………分かった。俺の子を産んでくれ 」 「 違うよ 」 初めて一緒にベットで横たわって、お互いに向き合うように話していれば、陽太はそっと俺の手を掴み、自らの腹部に触れさせてから鎖骨辺りへと頭を寄せてきた。 「 俺達の…子供を産むんだよ 」 「 っ………… 」 そうか…妹の様に知らない子でも無く、 姉の様に男の為に産もうとするわけでもなく… 二人が望んで、子を作るのが一般的なのか…。 「 ごめん、陽太…… 」 「 え…… 」 「 今すぐ…欲しくなった… 」 「 ちょっ、盛るのは嬉しいけど…!半年間、薬を止めなきゃ、妊娠が出来無いんだって( 出来ないというか子供の為に止めた方がいいってだけ… )」 陽太は俺に、健康的で丈夫な子供を抱かせたいと言ったから、薬を止めてからは完全に避妊具を使うことを徹底させてきた。 本来は半年止めればいいのを、陽太は一年間きっちり止めてから、 4回目の発情期(ヒート)が来た時に、避妊具を使わなくていいと笑顔で、両手を向けてきたんだ。 そんなの我慢できる訳もなく、ガッツリ中出しセックスしまくった事で、陽太は2ヶ月後に妊娠が発覚して、俺達は本当に幸せな家庭となった。 「 氷翠…おいで、赤ちゃん…だっこしてあげて? 」 「 っ…俺、汚れてるから…。触れたら…殺してしまうかもしれない… 」 オメガの男は、必ず帝王切開で子供を産むが… それは身体に大きく傷を作ることを知ってる。 それを綺麗な陽太にさせた事や彼の腕に抱く子を見て、震えが止まらなかった。 「 そんなこと無いよ。おいで、大丈夫だから 」 少し疲れてるような顔をしてる陽太だが、笑顔を向ける事にそっと近づき、彼によく似た黒髪を薄っすらと生やした赤子を見つめては、指先を向ける。 猿のようなくしゃくしゃの… 赤い頬をそっと触れば、妹の息子を思い出して涙が零れ落ちた。 「 いき、てる……。陽太…ありがとう…ありがとう……… 」 「 ふふ…いいよ。氷翠、この子と共に愛してるよ 」 「 俺も…二人を愛してる…。一生…大切にする 」 俺達の結婚式は写真程度しか行ってはいないが、 それでも沢山の写真を記念として残していった。 特に、陽太がツーショットやら家族写真を撮るのが好きだったから、アルバムはどんどん増えていった。 「 もぅ、家族は誰も傷つけさせないし…失わせない。この子が…イジメられたら、相手をぶっ殺していこう 」 「 うん、過剰毒親になりそうだから気をつけようね。流石に、殺すのは不味いから脅して歯の骨を折るぐらいに留めようね 」 「 そうする……… 」 まぁそのぐらいなら許されるだろうと思って、 小さな手を動かしてる赤子を眺めていた。 陽太の年齢もあって俺達の子は一人っ子だと思うが、お互いの給料や生活環境を考えると十分だろう。 それに赤子が生まれてすぐに陽太はずっと大きな犬を飼いたいと言ってたから、 その夢を叶えるようにふわふわの超大型犬を飼ったから、それが子供の良き兄弟となったんだ。 穏やかな陽太が番だし、俺も弱い者に強気にはなりたくない性格をしてたから、 どちらかと言えば妻の尻に敷かれるタイプの夫となり、夫婦喧嘩も無い家庭になった。 これが俺の理想… 陽太が叶えてくれた形は、死ぬまで壊したくはない。 「 ぱっ、ぱ…… 」 「 しゃ、べった……!やっと、パパって言ってくれた!!尊すぎて死ぬ!! 」 「 うん、生きて?そりゃまんまー(ごはん)、まま、まぅぅん(マリン)の犬の名前言ってたから…希望薄かったかも知れないけど、これからももっと沢山喋るんだからさ 」 「 可愛い可愛い……もう一回パパって言って? 」 「 ぱぅ、ぱ…!! 」 「 ぐはっ、可愛い……天使の声に、心臓が止まりかけた… 」 「( 子供が喋るだけでこのテンション…。完全にバカ親になるね。いいけど……無駄遣いさせないよう、財布の紐は管理しとこう )」 いつの間にか給料を全額管理されてたのは謎だったが、 毎月5万円はお小遣いとして貰ってたから問題はなかった。 「 待って……仕事最中のジュース代や仕事終わりに呑みに行くお金として渡していた5万円の中から、また子供服買ったの? 」 「 うん。だって呑みに行かねぇんだから…その分、買ってやりたいよなー 」 「 今月30着目だよ!?子供って直ぐに大きくなるんだから、いらないって… 」 「 マリンのおやつとバンダナも買ったぞ? 」 「 いらんって……… 」 「 そうか?2人目に着せればいいだろ。同じ性別ならいいが…… 」 「 …………そう言われると有りかもしれない。くっ……俺も夫に弱いから……!!持っと強く持て!!俺!! 」 そんな訳で、後々2人目が生まれたんだが…、 期待していたお下がりが全く着れ無かった。 そう、1人目は男の子、2人目は女の子だったんだ。 俺は喜んだのだが、陽太はめちゃくちゃ文句を言いながらタンス二つ分の大量の子供服をネット販売で巧みな売り文句をつけて売り捌いていた。 そのお金で得た物は、また妹の方に沢山買い与えていたけどな。 「 ……また服買ったの?何度言えば分かるの?…もぅ、お小遣い月々5000円ね 」 「 ………世のサラリーマンの気持ちが、今やっとわかった気がした…。うっ…… 」 流石に5000円は、仕事最中や終わりに買う スポーツドリンクやアイス代に消えた。 その分、休みの日に陽太はお財布の紐を ほんの、少しだけ解いてくれたのであった……。
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