煌びやかな世界

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 大学に入学した頃に何かコミュニティに所属した方がいいと漠然と考えていた。とにかく人が多い方が仲良くなるチャンスがあるんじゃないかと思って比較的規模の大きい映画製作サークルに入った。そこで声をかけてくれたのが麗花(れいか)ちゃんだった。「麗しい花なんて大層な名前つけちゃってさ、親恨むわ」なんて言っていたけれど、麗花ちゃんは名前の通り彫りが深い顔立ちで華やかな印象がある子だった。  人見知りの私と特別仲が良い訳ではなく、麗花ちゃんは先輩後輩性別関係なく人と仲良く出来る子だったから、とりあえず話しかけてくれただけなのだと思う。結局サークルにいる間は麗花ちゃんが話しかけてくれた時にだけ、麗花ちゃんと仲の良い人たちとついでに話してもらえる状況だった。  浮いているのは自覚しながらもどこかに所属していないと不安だった私はサークルに居続けて気付けば一年が経っていた。何も満たされない生活を続けていた大学2年生の夏。麗花ちゃんは何故か私にホストクラブへ行かないかと誘ってきた。 「大丈夫だって。初回は安いから。一回だけなら平気平気」  まるで麻薬のような売り文句に私の心は不安だった。でも麗花ちゃんに嫌われてしまったら、サークルでの居場所が完全になくなってしまう。学部の友達が出来ずに一人で講義を受けている状況で、これ以上居場所を失うのは嫌だった。そうして一回ならと、麗花ちゃんの誘いを受けてしまったのだった。
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