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こうして、ローリィは見つかった。
ちなみに幼女を取り巻く法についても探偵は調べており、半分天使という性質と、二次元実体化事変以降多様化した価値観の影響もあり、麗美香との関係は咎められないと発覚したという。住民としての役所への届け出についても、強制実体化された被害者ということで今からすれば許されると判明したため、この後にそうしたらしい。
以降の委細は、和田と紗流にはよくわからなかった。
あの日麗美花とローリィは、とりあえず一緒に住む家に帰った。あとは彼女たち自身の問題だからだ。
次の登校日からも麗美花は普通に通学してきた。和田成とは事件以降も、いい友人になれたようだった。
けれども、肝心のローリィの話題だけは巧妙に避けるようになっていた。察した和田も、そのことについては触れなかった。
だが。
「おねぇちゃーん!」
数日後の放課後。途中まで一緒に帰るのが習慣化していた和田と麗美花が木々に囲まれた校門に差し掛かったところで、校外から明るい声がした。
森林公園を抱える街の方角から走ってくる、天使人の少女によるものだ。
「ああ、ローリィ!」
当たり前のように麗美花に抱きとめられた少女は、慣れた様子で報告する。
「あのね、不思議な道具を出せるポケットをつけた未来のタヌキ型ロボットっていう設定の二次元人の噂があるんだけど、あれならいけるんじゃないかな――あっ! こんにちは、お久しぶりです」
唐突な出来事に面食らう和田へと、平然と挨拶をする幼女。
「こ、こんにちは」とりあえず彼は返したが、同級生へと疑問も挟む。「えーと。うまくいってたんだな」
「う、うん、まあね。世話になったから何だか報告しにくかったけど、今日から法的にも正式に同居していいことになったんだ」
照れたように、麗美花は答える。
「思えばさ、二次元世界にはロリキャラでも大人になれる可能性なんていっぱいありそうなのよね。あたしたちは、そういう手段を模索することにしたの。この子の夢だもん」
パートナーの言葉に、ローリィは楽しげに頷く。
それでも和田の心中には前回の問題が浮上したので、訊かねばならなかった。
「……けど。ローリィが大人になったら、君らはどうなるんだ?」
「少女が好きなのに変わりはないけど、大人になった彼女は受け入れる。たいていの男だって、あたしほどじゃなくても若い女が好きだったりするでしょ。でも結婚するほどにもなったのに、老いた奥さんをみんなが嫌いになるわけじゃない。好きな人って、そういうものじゃないの? あたしは少女の頃の彼女を知りたかっただけ、もう知れたから幸せなのよ」
これが、彼女なりの解答みたいだった。
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