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新高校1年生の僕、磯野海里(いそのかいり)は世間ではひきこもりといわれる。 ひきこもっていても怒られないのは、親に放置されているからだ。 そんな僕が今日めっずらしく外出した理由は 今日、僕が好きなミステリー小説の続刊の発売日だからだ。 最後に外出したのはいつだっけ……前に小説を買いに行った時だから、三か月前かな…… 食料は、一応親が送ってくるし…… 書店について、目当ての本を見つけると、それをもって、レジに向かった。 そしたら、後ろの女の子に話しかけられた。 「……よくそんな本読んでられますよね。面白く、なくないですか?」 その言葉にカチンときた。推理小説は神だぞっ! 「……おもし……面白いよ……推理小説は……神だから」 久しぶりに出した声、震えてそして、やばいことを口走った。 「……へぇ、神、ですか。その、どこにでもあるような、王道の小説が」 「王道……それが推理小説だろ……」 「磯野海里さん。そんな、王道飽きません?」 え?……なんで……名前……あと 「推理は、飽きる飽きないじゃないんだよ、……やるやらない、なんだよ、神室、沙羅……さん」 「あ、私の名前知ってたんですか」 「……知らなかったよ。少し、推理しただけ」 さすがに『神』の推理小説に飽きるとか言ってるやつに仕返ししたかっただけだからっ 「へぇ、やっぱり、八田中学校(やだちゅうがっこう)で有名だっただけありますね」 ……ふぅん 「……そこまで知ってるんだね」 「有名ですから」 なんで有名なんだ……? あ……そういうことか……大体、理由が分かった。あいつだ……絶対にゆるさねぇ…… 「で、それを知って、侮辱しに来たの?君は」 「違います。えっとですね、……探偵になってください」 …………こいつ、僕のことマジで怒らせるの?阿保なの? 「いやだ。というか無理。探偵なんて、人の恨みを買う仕事だ」 「私が助手になるのでっ!」 「なんでそうなるんだよ」 …………阿保が 「そこをどうにか?」 なんで、疑問形なの? 「わかった……考えるけど、とりあえず、本買っていい?」 「あ、はい。どうぞ」 レジで会計を済ませ、僕はそのまま裏路地を使って、逃げようとした。けど、待ち伏せされていた。 「磯野先輩。私、磯野先輩の家知ってますから、無駄ですよ?」 「っち」 「探偵、やってくれますか?」 「いやだ……」 「私が頑張るのでっ!」 ……無理だ……だって 「僕がやっても、誰も来ないよ……」 「それは私がどうにかします!というかここにいます!」 「誰が?」 「私がっ!」 圧と押しが強いなぁ…… 「……1回だけだよ、めんどくさかったり、飽きたりしたら、辞めるから」 神室さんは笑顔になって、 「ありがとうございますっ!これ、連絡先なのでっ!」 そういって、連絡先を渡してきた。 「私、学校の課題があるのでっ!また、明日っ!」 手を振りながら、去っていった。 ん?また、明日……?
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